簡単な矯正歯科

ご記憶にも新しいでしょうが、ある大学病院で前立腺がんの摘出手術をする際、若い医師3人が腹腔鏡を使用中に内視鏡の業者から術中取り扱いの説明を受けていて、止血処置が間に合わず患者さんが亡くなったという事件がありました。 もちろん未熟な医師の判断ミスが問題なのですが、こんなことで、よく手術ができるなと思います。
検査機器や外科器具の取り扱い説明書も英語で書かれている。 それを医師に代わって輸入販売業者が日本語に翻訳している。
専門家が監修しているでしょうから、誤訳はないと信じたいが、それでも念のため説明書ぐらいは自分で読むのが普通でしょう。 私が外科医だったら、手術に使う機器すべての説明書を原文で読み、完全に把握して、さまざまなトラブルを想定しながら、あらゆる処置を模索する。
そうしなければ、初めての医療器具を臨床では使いません。 私の場合、渡米前に自信のあった英語をさらに磨いたつもりですが、アメリカに行った当初はそれでもわからないスラングや医学英語独特の単語に苦労しました。
また、医学を英語の教科書ではなく、日本語で習う。 こんなこと、日本だけですよ。
昔ならともかく、国際社会のいま、コンピュータ、インターネットはもちろんのこと、医学雑誌も学会での発表もすべて英語が世界共通語です。 いまや英語ができない医師は医師ではありません。

最先端の医療機器、検査機器を知るのも英語、論文を読むのも英語というのが、今日の医療現場の実態です。 ということは、大部分の日本の医者は、世界に通用しない、最新情報を肌身に感じられない。
たとえば、「帯状庖疹、ヘルペス」を女の患者さんが「シングル」というスラングでいう。 まいりましたね。
シングルは、独身でしょう。 「私、ヘルペスです」と訴えかけているのに、「独身です」と熱っぽくいわれると私に気でもあるのかと勘違いするところでしたよ。
すみません、つい脱線しましたね。 さて、ここに取り上げている「ジェネリックネーム」と「アメリカのブランド名(商品名)」もまぎらわしい。
たとえば、解熱剤・鎮痛剤でよく知られている薬に、ジェネリックネームはがあります。 これは、アメリカでよく使われる商品名が「T」で、子どもでも聞いたことがある薬です。
日本の医者は聞いたことがないというでしょう。 は、日本では、P、、N、N、Pと5つの商品名があります。
また、たびたび例にとりあげている、高脂血症治療薬のジェネリックネームは、P。 日本の商品名はM、アメリカの商品名はP。
そこに後発品の商品名が加わって、日本の後発品はP、その上にアメリカの後発品やドイツの後発品までが加わると大変な数になります。 全部同じ成分、効能の薬です。

そこで、世界の大学医学部、医科大学では、医学生に薬剤名を教えるときに、1般名、国際名で教えています。 当然でしょう。
これだけ国際化社会になっている現在、1国の国民だけしか診察できない医師では通用しなくなっているのです。 ところが、日本の厚生労働省は、「処方箋には、薬を商品名で記載しなさい」と規制をしている。
国が「商品名を」と規制している以上、1般名を覚えるより商品名を知っておくほうが日本の医師には都合がいい、となる。 逆行もいいところです、国がそんなことを言っている時代ですか。
日本だけで通用するブランド名で処方していては、国際社会では取り残されてしまいます。 実は、こんなところにも、日本人のブランド志向が隠れているわけですね。
余談になりますが、海外で、日本の旅行者が病気が悪化して医師に診てもらうとき、日本から持参した薬剤の商品名は、外国の医師には、どんなクスリか分からないことがあります。 しかし、1般名はグローバル・スタンダードですから、1般名がクスリ袋に記入してあれば、外国の医師にも識別可能です。
外国の病院には、日本のクスリの名前から1般名を探す文献がありません。 だから、旅行者がクスリを持って外国の空港の税関を通るとき、税関の管理は、全てのクスリは麻薬ではないか疑うから、出国する前に、かかりつけの医師に診断書を作成し、病名と薬剤名を4白紙にパソコンで記入しておいてもらうことが大切です。
ジェネリック医薬品の普及率が低い理由のとして、日本がまだ代替調剤制度を取り入れていないことをあげました。 最近、医薬分業が目立つようになりましたね。
診察は病院で、薬は家の近くの薬局でという取り組みで、街のあちこちで、「調剤薬局」や「処方箋薬局」という看板を目にします。 しかし、これらを利用する院外の処方箋の普及率は、日本全体でみるとまだ17%にしか達していないといわれています。
まだ大部分の人が、病院内で薬をもらうのでしょう。 ただ現在の「調剤薬局」や「処方箋薬局」は、医薬分業のように見えても、実際はどうでしょう。
薬剤師は、あいかわらず「医師の処方箋」が絶対で、薬を袋に詰めるだけの人になっているのではないかと思われるほど、あまりにも権限がなさすぎる。 だからといって、天下のN会に、「薬を選ぶ権限を薬剤師に譲りましょう」とは誰もいえない。
Y会はおろか、国も言い出せない。 これが、日本がまだ調剤を医師の処方箋絶対主義にとらわれ、代替調剤に踏み切れない実態でしょう。

代替調剤とは、医師が処方した医薬品を、院外にある「調剤薬局」や「処方箋薬局」などの薬剤師が品質、コスト、飲みやすさなどの患者さんの好みを考慮して、患者さん同意のうえで、同1成分のジェネリック医薬品に切り替えられる制度のことです。 前にも触れましたが、アメリカ、ドイツ、イギリス、オランダ、フランスなど欧米諸国では、ほとんどこの代替調剤に切り替えています。
薬剤師は、薬の専門家です。 薬はすべて毒で、毒はすべて薬です。
毒(ポィゾン)と1服の薬(ポーション)の語源が同じこと、薬学(ファーマシー)薬理学(ファーマコロジー)の語源となったギリシャ語ファルマコンが、「治療薬」の意味があると同時に「毒薬」の意味もあったこと。 そんな薬理の基礎を学んでいるのが薬剤師です。
薬の大切さも怖さも、酸いも甘いも知っています。 任せたらいいのではないかと、私は思います。
3分診療の医師たちが、短い診察時間のなかで薬のあれこれに頭を悩ますより、専門家に任せたらいい。 任せられた薬剤師も、よりいっそうの責任をもって、患者さんに薬のインフォームド・コンセントをしてくれるでしょう。
日本の政府は何をしているのでしょう。 フランス政府のような積極策はとれないのでしょうか。

ここに、国会の予算委員会で問題に取り上げているS・K参議院議員の発言をご紹介しましょう。 「(以前)医療費の削減のために薬価が安い後発医薬品を国立病院や国立大学付属病院が率先して使用すべきではないだろうかという質問をいたしました。
わが国の1年間の国民医療費は、平成11年度で約31兆円。 これは対前年比で1兆1千億円余り増加しております。
そのうち薬剤費、薬代ですけれども、これは約六兆円と言われております。

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